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死刑廃止議員連盟の総会
2月16日、死刑廃止議員連盟の総会が衆議院第2議員会館で開催されま
した。
総会では、まず議連会長の亀井静香衆議院議員からの挨拶、
局長である村越祐民衆議院議員から報告がありました。その中で、
連盟の会長代行に中川秀直衆議院議員が就任すること、そして「
刑の創設及び死刑に処する裁判の評決の特例等に関する法律案」
国会へ提出できるよう取り組んでいきたい、
総会での説明および配布資料によれば、
れています。
第一に、法定刑として死刑が規定されている罪について、
「重無期刑」を創設すること。第二に、
刑の量定は、構成員の全員一致の意見によるものとし、
さない場合には、重無期刑とすること。第三に、
の死刑制度に関する事項について調査を行うため、
(施行日の3年後)までの間、各議院に「死刑制度調査会」
こと。第四に、この法律の公布の日から、平成28年3月31日(
「死刑制度調査会」の設置期間満了の日から1年後)までの間は、
を執行しないこと(死刑執行の停止)。
死刑廃止議連では、「議員提出法律案」
これから更に議論を重ねたいとの方針でした。
国連総会で、死刑執行停止決議が3回目の採択!!
12月21日、国連総会において、全世界の国ぐにに対し、死刑廃止を視野に入れ
て死刑の執行停止を行うよう求める決議が、
決議は、11月に国連総会の下の第三委員会において採択され、
ていました。
世界各国に死刑の執行停止を求める内容の決議が総会で採択された
年、2008年に続いて三回目となりますが、
反対国が減少する傾向にあります。
この決議に対する賛成国と反対国の推移は、次の通りです。
【2010年】賛成 109カ国/ 反対 41カ国/ 棄権 35カ国
【2008年】賛成 106カ国/ 反対 46カ国/ 棄権 34カ国
【2007年】賛成 104カ国/ 反対 54カ国/ 棄権 29カ国
日本は、総会での採決において、
の第三委員会での採択の際も反対票を投じ、
した。
ちなみに日本と共に反対票を投じた国ぐにとしては、中国、米国、
ラク、イラン、インドネシア、スーダン、
ミャンマー)などの国ぐにが挙げられます。
一方で今回、モンゴルやブータンが新たに賛成国に回りました。
ア諸国の反応としては、フィリピンや東ティモール、
韓国、ベトナム、タイなどは棄権でした。
アジアの国で3回連続反対票を投じた国は、中国、
本の3カ国だけとなりました。
死刑存置国が集中する地域と言われてきた東アジアですが、
むかって着実に変化しつつあると言えます。
国連総会は2012年末に、この問題を再び議題とする予定です。
国連総会 第三委員会にて「死刑執行停止決議」採択
2010年 11月11日、国連総会の第三委員会において、全世界の国ぐにに対して死刑の執行停止を求める決議が、賛成多数(賛成107カ国、反対38カ国)で可決されました。
以下は決議文の日本語仮訳です。
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台湾法務部による違法な死刑執行に抗議する台湾死刑廃止推進連盟(TAEDP)プレス・リリース
(日本語訳:「死刑に異議あり!」キャンペーン)
台湾が4年ぶりに死刑執行を再開
2010年4月30日午後7時前後に4名の死刑確定者に対して死刑が執行されました。2005年12月以来約4年半の死刑執行停止状態が終わりました。
この執行が行われる前に、台湾死刑廃止推進連盟(TAEDP)は声明を発表し、「今年の後半に予定される総選挙を控えて、私たちは総督府と行政院、立法院、与党、野党に対して、死刑という生と死に関する問題よりも、自分たちの利害を優先することのないよう強く要請する。私たちは、行政府と立法府が台湾のとるべき進路を考慮するにあたって、普遍的な人権の諸価値を支持するよう求める。」と述べていました。しかし、執行は事前に死刑囚の家族にも知らされず、家族は最後の別れを告げる事さえも許されなかったそうです。今回の死刑執行について、政府は「法律に基づく死刑執行」だと主張していますが、TAEDPは違法な手続きによる死刑執行であると批判しています。
関連資料
・台湾死刑廃止連盟2010年3月10日付プレス・リリース(日本語訳)
http://www.abolish-dp.jca.apc.org/content/news2010-03-10t000000159
・台湾死刑廃止連盟2010年3月12日付プレス・リリース(日本語訳)
http://www.abolish-dp.jca.apc.org/content/news2010-03-12t000000160
・TAEDPの死刑執行抗議声明(日本語訳)
http://www.abolish-dp.jca.apc.org/content/news2010-05-01t000000165
大阪母子殺人事件で最高裁が死刑を事実誤認で破棄・差戻し
大阪平野区で2002年に主婦(当時28歳)と長男(当時1歳)が殺され放火された事件で、最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は、殺人と現住建造物放火の罪に問われた大阪刑務所職員(休職中)森健充被告(52歳)を死刑とした二審判決、無期懲役とした一審判決をいずれも破棄し、審理を大阪地裁に差し戻した。判決は5人の裁判官中4人の多数意見。判決では、「被告が犯行現場に行ったとは認められず、事実誤認の疑いがある」と指摘しており、差し戻し審で無罪となる可能性が出てきた。
最高裁が死刑判決を破棄して差し戻すのは極めて異例で、戦後混乱期の松川事件、八海事件、1989年の山中事件など大半は無罪が確定しているという。
被告は殺害された主婦の義父で、一貫して犯行を否認し直接証拠もなかったが、一二審判決では現場マンションの階段踊り場にあったたばこの吸い殻に被告の唾液が付着していたことを最大の根拠に被告が犯行現場に行ったと認定していた。
しかし、最高裁第三小法廷は直接証拠がない事件で有罪を認定する際の新たな基準を示してうえで、問題の吸い殻について「事件翌日に採取されたのに茶色に変色しており、かなり前に捨てられた可能性が否定できない」として、被告が事件当日現場に行ったとは認定できないとした。
判決では、直接証拠がなく間接証拠(状況証拠)で有罪を認定する場合の基準として、「被告が犯人でないとしたら説明のつかない事実が、間接証拠に含まれる必要がある」との判断を示し、「被告が犯人だとしても矛盾がない」という程度では有罪認定できないことを明確にした。
ここ半年余りの間に足利事件、布川事件、名張毒ブドウ酒事件などの再審(再審請求)事件や通常事件でも死刑や無期刑の判決が再審や上訴審で覆される例が相次いでおり、冤罪との関係で死刑制度の危険性が改めて浮き彫りになっている。
関連記事:「名張毒ブドウ酒事件」で最高裁が再審開始取消し決定を差戻し
中国政府が日本人死刑確定者3名の死刑も執行、4日間で4人の執行
4月9日午前9時(日本時間午前10時)、中国で麻薬密輸罪で死刑判決が確定していた武田輝夫死刑囚(67歳)、鵜飼博徳死刑囚(48歳)、森勝男死刑囚(67歳)の3人の死刑が執行された。武田死刑囚と鵜飼死刑囚は大連で、森死刑囚は瀋陽で死刑が執行された。
4月6日には同じく麻薬密輸罪で死刑判決が確定していた赤野光信死刑囚の死刑が執行されており、わずか4日間のうちに4人の日本人がたて続けに死刑を執行されたことになる。日本外務省によると、第二次世界大戦後に刑事犯として日本人が外国で死刑を執行された例はこれまでにないという。
日本政府は岡田外相が駐日中国大使に、また訪中していた菅副総理も「死刑執行が日本の正論に与える影響」について懸念を表明したものの、死刑執行の中止を申し入れるなど死刑執行回避のための積極的な外交努力は行っていなかった。
アムネスティ・インターナショナル日本などの死刑廃止を求める日本の市民団体は、4月5日~4月9日まで中国大使館前で死刑執行に対する抗議と死刑執行停止を求める行動を行ったが、4名の死刑執行をストップすることはできなかった。
中国大使館前で、死刑執行に抗議する緊急アピール行動
中国政府は、4月6日に、麻薬密輸罪により死刑が確定していた赤野光信さんを、また4月9日には、同様の罪で死刑が確定していた武田輝夫さん、鵜飼博徳さん、森勝男さんに対する死刑を執行しました。
この事態に対して、アムネスティ日本が呼びかけ団体となり、4月5~9日にかけて、中国大使館前において、今回の死刑を含む、中国でのあらゆる死刑に抗議し、あらゆる死刑の執行停止を求める緊急アピールが行われました。
連日、アムネスティ日本やフォーラム90、「死刑を止めよう」宗教者ネットワークなど、様ざまな死刑廃止団体のメンバーが集い、「死刑執行を直ちに停止し、死刑廃止への一歩を!!」などと書かれたプラカードを持ち、抗議の声をあげました。こうした姿は民放各社で放映され、主要各紙でも取り上げられました。
緊急のアクションでしたが、5日間でのべ70人もの人たちが駆けつけ、死刑廃止の声をあげて下さいました。今回、残念ながら、4人に対する執行を止めることはできませんでしたが、「死刑に異議あり」という声をあげる市民の姿を示すことができたことは、死刑のない東アジアに向けた大きな一歩だと思います。
中国政府が日本人死刑確定者1名の死刑を執行
4月6日午前9時30分(日本時間午前10時30分)、中国の大連拘置所の関連施設で、麻薬密輸罪で死刑が確定していた赤野光信死刑囚(65歳)の死刑が執行された。執行方法は薬物注射によるとみられる。日本外務省によると、第二次世界大戦後に海外で日本人が刑事犯として死刑執行された例はこれまでにないという。
中国政府は4月5日までに赤野死刑囚の執行を行うと通告していたが、5日午前に赤野死刑囚と親族との約1時間にわたる面会を認め、予定より1日遅い執行となった。
日本政府は通告を受けて岡田外相が「死刑執行が日本の世論に与える影響」について駐日中国大使に懸念を伝え、訪日中の菅副総理が同様の懸念を表明したが、死刑執行中止の申入れなどは行っておらず、邦人の死刑執行回避の外交的努力はほとんどなされなかった。
これは日本政府自身が、中国人を含む死刑の執行を現に行ってきたことも影響していると思われる。しかし、戦後初めての外国における邦人の死刑執行という深刻な直面して、自国の死刑制度に対する従来の姿勢の変更を含めて、新たな対応を取れないというのは問題である。
薬物犯罪に対する中国の厳罰主義についても、死刑に関する国際人権基準に照らして死刑が許されないことを、日本政府としても言うべきである。
「名張毒ブドウ酒事件」で最高裁が再審開始取消し決定を差戻し
1961年3月に三重県名張市で農薬入りのブドウ酒を飲んだ女性5人が死亡、12人が中毒症状を起こした「名張毒ブドウ酒事件」で、最高裁第三小法廷(堀籠幸男裁判長)は4月5日付で、奥西勝死刑囚(84歳)の再審を開始すべきか否かの判断を名古屋高裁に差し戻す決定を行った。
この事件は、一審は無罪だったが控訴審で死刑判決が出て、1972年6月に最高裁が被告の控訴を棄却して死刑が確定した。第6次までの再審請求はいずれも棄却されたが、第7次再審請求について名古屋高裁が2005年4月に初めて再審開始と死刑執行停止の決定を行った。しかし、検察側がこれに異議を申立て、名古屋高裁の別の部が再審開始を取り消し、これに対して弁護側が特別抗告を申し立てていた。
特別抗告審での最大の争点は、奥西死刑囚が使用したと自白した農薬「ニッカリンT」が実際に犯行に使われた農薬と一致するかという点で、弁護側が当時流通していた「ニッカリンT」を独自に入手して行った鑑定では「ニッカリンT」に含まれているはずの特定成分が検出されたのに、事件後のブドウ酒の鑑定ではこの特定成分が検出されておらず、事件で使われた農薬が「ニッカリンT」ではない疑いが出ていた。
この点について、最高裁第三小法廷は、ニッカリンTが使われていなかったのか、鑑定の方法により検出できなかっただけなのかについて「(再審開始を取り消した)名古屋高裁の決定は科学的知見に基づく検討をしたとはいえず、いまだ事実は解明されていない」と指摘、弁護側の持つ「ニッカリンT」の提出を受けて改めて鑑定するなどの心理が必要として、5人の裁判官の全員一致で事件を名古屋高裁に差し戻した。
この事件については、第一審で無罪判決、2005年4月に再審開始と死刑執行停止の高裁決定と、すでに2度にわたって実質無罪の判断が出ているわけで、それだけでも死刑判決を維持するに足りない。2005年4月の再審開始決定以降も再審開始をはばみ死刑判決を維持しようとし、逮捕当時35歳であった奥西氏を84歳の現在まで死刑執行の恐怖にさらし続けている検察側の対応は、許されるものではない。名古屋高裁はすみやかに再審開始決定をすべきである。
「名張毒ブドウ酒事件」の再審が認められれば、戦後5番目の死刑再審事件となる。死刑事件についてもいまだに冤罪が絶えないことは、死刑制度の持つ本質的危険性を改めて明白にしている。