国連総会 第三委員会にて「死刑執行停止決議」採択

 
日付:  水曜日, 2010-12-15
 

2010年 11月11日、国連総会の第三委員会において、全世界の国ぐにに対して死刑の執行停止を求める決議が、賛成多数(賛成107カ国、反対38カ国)で可決されました。

以下は決議文の日本語仮訳です。

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アムネスティ日本・仮訳
国連総会第三委員会・死刑執行停止決議
 
国際連合 A/C.3/65/L.23/Rev.1 2010年11月8
第65会期 国連総会 第三委員会
議題項目68 (b)
 
決議提出国
アルバニア、アルジェリア、アンドラ、アンゴラ、アルゼンチン、アルメニア、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ベニン、ボリビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブラジル、ブルガリア、ブルンジ、カンボジア、カーボベルデ、チリ、コロンビア、コンゴ共和国、コスタリカ、コートジボアール、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、エクアドル、エストニア、フィンランド、フランス、ガボン、グルジア、ドイツ、ギリシャ、ギニア・ビサウ、ハイチ、ホンジュラス、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イスラエル、イタリア、キルギスタン、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルグ、マリ、マルタ、マーシャル諸島、メキシコ、ミクロネシア連邦、モナコ、モンテネグロ、モザンビーク、ノルウェー、オランダ、ニュージーランド、パラグアイ、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、モルドヴァ、ルーマニア、ロシア、ルワンダ、サンマリノ、セルビア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、マケドニア、東ティモール、トルコ、ウクライナ、英国、ウルグアイ、バヌアツ
 
死刑の適用の停止
 
国連総会は、
国連憲章に盛り込まれた目的と原則に導かれ、
世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約、および子どもの権利条約を想起し、
死刑の使用の停止に関する国連総会決議62/149 および63/168において、国連総会が死刑を存置している国ぐにに対し、死刑の廃止を視野に入れた死刑執行停止を確立するよう求めていることを再確認し、
死刑執行における司法の誤りや欠陥は、撤回できず回復不可能であることに留意し、
死刑の使用の停止が、人間の尊厳に対する尊重と人権の強化および進展に貢献すること、そして死刑の抑止力としての価値にはなんら確証がないことを確信し、
死刑に関する各国での議論や地域的なイニシアティブの継続や、死刑の使用に関する情報公開を進める国ぐにの数が増加していることに留意し、
また、死刑の執行停止に関する各国間の技術的協力に留意し、
 
1、決議63/1684の実施に関する事務総長からの報告書、および同報告書に含まれる結論と提案を歓迎する。
2、また、死刑適用犯罪を減らすための各国での取り組みや、死刑の執行を停止する国ぐにが増加し、多くのケースにおいて死刑廃止に繋がっていることを歓迎する。 
3、あらゆる国ぐにに対し、
(a)    死刑に直面している者の権利保護の保障を規定する国際基準、特に1984年5月25日の経済社会理事会決議1984/50の付属書に定められた最低基準を尊重し、この件についての情報を国連事務総長に提供し、
(b)    可能な限りの情報に基づく透明性の高い国民的議論に寄与することができる、死刑の適用についての関連情報を公開し、
(c)     死刑の使用を徐々に制限し、死刑を科すことのできる犯罪の数を減らし、
(d)    死刑の廃止を視野に入れた死刑執行停止を確立することを求める。
 
4、死刑を廃止した国々に対し、死刑を再導入しないよう要請すると共に、死刑廃止に関する各国の経験を共有することを奨励する。
5、事務総長に対し、国連総会第67会期において、当決議の実施状況について報告するよう要請する。
6、この問題について、国連総会第67会期においても、人権の促進及び保護という議題の下で継続して検討することを決定する。