すべてのニュース

すべてのニュースを日付の新しい順に表示しています。

内閣府が「死刑制度に対する意識」の世論調査を公表、存置派が増加?

 
日付:  土曜日, 2010-02-06
 

 2月6日、内閣府は「死刑制度に対する意識」の世論調査(2009年11月26日~12月6日)の結果を公表しました。これによると、「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」と答えた者の割合が5.7%、「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えた者の割合が85.6%となり、前回(2004年12月)より「死刑存置派」が増えた(81.4%->85.6%)としています。

 しかし、この調査の設問は、以下のようなものです。

「死刑制度に関して,このような意見がありますが,あなたはどちらの意見に賛成ですか。
(ア)どんな場合でも死刑は廃止すべきである
(イ)場合によっては死刑もやむを得ない
わからない・一概に言えない」

 これでは、「将来死刑を廃止してもよい」とか、「死刑は徐々に減らしていくべきだ」とか、「死刑に代替する刑があれば廃止してもよい」と考えている「条件付き死刑廃止派」も、(イ)の「死刑存置派」に分類されてしまいます。設問自体に問題があります。

 「設問が不適切でも経時的な変化は分かる」という意見もあり、内閣府やこの調査を報じたマスコミもそのように考えているのでしょう。そのような立場から見ると、この調査によって「分からない・一概に言えない」が減り、その分「死刑存置派」が増えたという結論が導かれそうです。

 しかし、不適切な設問を前提とした調査では、経時的変化にも計測不可能な様々な要素が影響してきます。内閣府のこの調査からは、「厳罰を求める風潮が市民の間にも強まっている」ということ以上には、死刑について何か意味のある結論は導けるものではないと思われます。

内閣府の世論調査の概要

世論調査への異論・反論

モンゴルが死刑執行を停止、大統領が死刑廃止を提案

 
日付:  木曜日, 2010-01-14
 

 モンゴルのツァキア・エルベグドリ大統領は、1月14日、議会に向けて演説し、民主国家としてのモンゴルは死刑の執行を停止すると宣言しました。

 その前日13日がモンゴルの民主憲法制定18周年にあたり、今回の演説は、民主制樹立を記念してのものでした。大統領は就任7カ月にわたって死刑の執行をしなかったことを公にし、今後、憲法上の生きる権利を保障するために、死刑を執行しないと宣言したものです。

 大統領は、執行停止の主な理由として、民主国家としての態度と、誤判の可能性が排除できないことなどに触れています。任期中にいくつかの執行命令の判断を迫られたことを告白していますが、その経験にたって、国は死刑の名の下に生きる権利を侵害してはならない、と断言しました。

 東アジア地域の中で、韓国、台湾に続きモンゴルが死刑執行停止を明らかにしたことにより、今後、日本でも、死刑執行停止の方針を公にすることが望まれます。

モンゴル大統領の演説の英語版は以下にあります。
http://www.president.mn/eng/newsCenter/viewNews.php?newsId=122

共同通信の記事
アムネスティ・インタナショナルの報告

 

米国法律協会(ALI)が死刑制度支持を放棄、米国の死刑制度を支持しない決議

 
日付:  水曜日, 2010-01-06
 

 米国法律協会(ALI)が2009年秋、死刑制度を原則的に支持してきた指針を撤廃し、現状の死刑制度には問題があるとする 決議案を採択していたことが、米ニューヨーク・タイムズ紙の1月4日の報道で分かった。

 同紙によると、ALIは昨年10月23日、1962年に制定した死刑に関する指針を撤廃。それに代えて、「死刑を執行するうえで適当な制度と確信するには、現在の制度にはやっかいな制度的、構造的な問題がある 。(ALIは)そうした制度を支持しない」との決議案を圧倒的な賛成多数で採択した。同紙は、「米国の死刑制度が破綻(はたん)していると宣言したものだ」と説明している。

ALIは、裁判官や弁護士、学者ら4000人が加入しており、死刑判決を出す際に裁判官がこの指針に言及することがあるなど 裁判実務に大きな影響を与えてきただけに、ALIの方針変更は米国の死刑制度に影響を与える可能性がある。

毎日新聞の記事

日本-EU間の刑事共助協定で死刑を理由にEUに拒否権を認める

 
日付:  火曜日, 2010-01-05
 

 昨年日本政府と欧州連合(EU)が署名した刑事共助協定(11月30日にEU側が署名、12月15日に岡田外相が署名)に、「死刑の可能性がある犯罪」に関しては共助要請を拒否できるとの規定が盛り込まれていることが、報道各社の関係者への取材で分かった。

 協定では、請求を受けた側が「自国の重要な利益が害される恐れがある場合」は共助を拒否できると規定し、この事例として「請求国の法令の下で死刑を科しうる犯罪」が盛り込まれた。

 これにより事実上EU側だけが拒否権をもち、日本で殺人などの罪を犯した容疑者がEU域内に逃げ込めば、証拠収集を拒否できる形になる。

 昨年10~11月、交渉に関与した警察庁から報告を受けた国家公安委員会では「不平等な内容だ」との反対意見が出たが、中井洽国家公安委員長は5日の会見で「不安はあるかと思うが、できるだけのことはした」と述べた。

 死刑廃止国が7割を超えるなかで、このような事態は今後も当然予想されることで、日ごろ中国を批判しながらこのようなときだけ中国の後ろ向きの抵抗に期待を寄せる、保守派や一部の国家公安委員の意見は滑稽ですらある。

共同通信の記事
日経新聞の記事

国連死刑廃止条約20周年 東アジア死刑廃止大会にのべ330人が参加

 
日付:  火曜日, 2009-12-15
 

 12月5日~12月14日、私たち「死刑に異議あり!」キャンペーンの呼びかけで「国連死刑廃止条約20周年 東アジア死刑廃止大会」が東京で開催された。

 12月5日に明治大学で行われた第1分科会「死刑と向き合う市民~裁判員制度と韓国参与員制度を比較して~」には約80人が参加。12日に同じく明治大学で開催された第2分科会「死刑廃止と宗教者の役割―和解と癒しを求めて」には約60人が参加。13日に青山学院大学で開かれた全体会シンポジウム「『死刑はアジアの文化だ』って本当ですか?」には約150人が参加。14日に参議院議員会館で開催された第4分科会「アジアの死刑制度の現状について考える院内集会」には約40人が参加した。

 東アジア死刑廃止大会全景重複はあるものの、東アジア死刑廃止大会にはのべ330人の人々が参加したことになる。このほか、12月2日には早稲田大学で「いのちの意味を考える 死刑制度に関する欧 州とアジアの視点」が、駐日欧州委員会代表部(EU)、スウェーデン大使館、EUIJ早稲田(早稲田大学)の共催で開かれ、12日には京都の龍谷大学で「死刑を考える一日~いのちのメッセージ from 京都」も 開催された。15日には衆議院第2議員会館で「死刑囚の表現展」が死刑廃止フォーラム90の主催で行われている。

 政権交代によって死刑執行ラッシュがとりあえずストップしている今、日本の死刑制度が今後どうなっていくのか、国内外の多くの人々が高い関心をもって注視している。

布川事件の再審開始が確定、最高裁が検察側の特別抗告を棄却

 
日付:  火曜日, 2009-12-15
 

 茨城県で1967年に大工の男性が殺害された布川(ふかわ)事件で、強盗殺人罪などで無期懲役が確定して服役し、仮釈放された桜井昌司さん(62)と杉 山卓男さん(63)の第2次再審請求について、最高裁第2小法廷(竹内行夫裁判長)は12月14日付で検察側の特別抗告を棄却する決定を出した。これにより2人の再審開始 が確定した。

 足利事件に続いて、無期刑が確定した事件で再審開始が決定された。死刑や無期刑が確定しながら再審が認めあられた事件は、布川事件を含めて戦後に7件になる。このうち免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件の4件は死刑確定事件である。これらの死刑確定事件で再審無罪が相ついだ80年代は、日本にとって死刑を廃止する絶好の機会であった。

 今また、死刑や無期刑になる事件でもウソの自白が現実にあることが明らかになったことは、「取調べの全面可視化」の必要性を実証するともに、死刑事件でも冤罪が避けられないことを実証しており、今度こそこれを日本で死刑を廃止する好機としなければならない。

東アジア死刑廃止大会 第3分科会(院内集会)に30人余りが参加

 
日付:  月曜日, 2009-12-14
 

 2009年12月14日(月)参議院議員会館にて分科会3「アジアの死刑制度の現状について考える院内集会」を開催した。国会関係者4名、ドイツ大使館を含む33名の来場がありました。平日の日中にも関わらずたくさんの方にご参加いただけました。

院内集会全景 開会後、死刑に関する映像上映を行い、デイビッド・ジョンソンさんより「次なるフロンティア: アジアにおける国家の発展、政治的変化、そして死刑」というテーマでお話いただきました。世界と米国、日本の死刑の状況の推移や、アジアにおける死刑の特徴などの分析を話され、日本の死刑の特徴を9項目に分けて分析されました。指摘された点は、豊かで、民主的な国家でありながら死刑を存置すること、意図的な存置であること、近年の死刑の増加、処刑をめぐる秘密と沈黙、処刑方法に変化がないことなどでした。最後にジョンソンさんは「いずれ死刑は廃止されるだろう。問題はそれがいつになるのかだ」と述べました。

 朴秉植(パク・ビョンシク)さんからは韓国における死刑廃止運動のこれまでの歩みについて、林欣怡(リン・シンイ)さんからは台湾における現在の死刑執行停止状態に至る経過や死刑廃止推進連盟の活動などについてご報告いただきました。

死刑求刑事件で広島高裁が一審無罪判決を支持

 
日付:  月曜日, 2009-12-14
 

 2001年に広島市で保険金目的で母親を絞殺し、家に放火して娘2人も焼死させたとして、殺人や詐欺などの罪に問われていた中村国治被告 (39)に対して、広島高裁(楢崎康英裁判長)は一審広島地裁の判決を支持し、検察側控訴を棄却し た。

 最高裁によると1978年以降、再審事件を除き、死刑求刑に対し一、二審とも無罪が言い渡されたのは今回で3件目だという(過去の2件は検察側が上告を断念し、無罪が確定している)。

 日本ではいまだに一審の無罪判決に対して検察官が死刑を求めて上訴したり、一審の無期刑判決に死刑を求めて上訴することが平然と行われている。これは被告に「死刑に関する二重の危険」を負わせるものである。このような過酷な負担を被告に負わせながら、「死刑を求めて上訴」した検察官は原審判決が変更されずに確定しても、何らの責任も取らない。

 英米法のように「二重の危険」一般を回避するために検察官による上訴を制限するのがベストだが、せめて「死刑に関する二重の危険」を回避するために、検察官が「死刑を求めて上訴すること」を法律によって禁止すべきである。

東アジア死刑廃止大会 全体会シンポジウムに150人が参加

 
日付:  日曜日, 2009-12-13
 

東アジア死刑廃止大会 全体会シンポジウム
「死刑がアジアの文化だ」って本当ですか?
2009年12月13日(日)午後1-5時、青山学院大学9号館910号教室

 参加者はスタッフを含め150人。冒頭に、日本や世界の死刑制 度に関する映像資料の上映が行われました。普段あまり目にすることのない死刑の実態に、参加者は無言で見入っていました。

 シンポジウム第一部「死刑は日本の文化か?」では、ミステリー作家の島田荘司さんと江戸文化研究者の田中優子さんが対談。 弥生時代から現代までの歴史を踏まえつつ、武家政権と死刑制度との深いつながりが指摘されました。

 全体会パネリスト第二部「死刑はアジアの文化か?」では、東アジア各国の死刑 廃止活動家や研究者によるパネルディスカッションが行われました。台湾・死刑廃止推進連盟の林欣怡さんは、4年以上執行がない台湾の最新状況を説明。デービッド・ジョンソン教授(ハワイ大学)は、アジア各国の状況を見ながら「国や地域によって死刑に関する政策が異なる。死刑制度は文化ではなく政治状況に左右される」と指摘しました。また、韓国の朴秉植教授は、「文化(culture)とは良いものを耕すという意味である。人を殺してしまう死刑は文化と呼ぶべきものではなく、克服すべき対象だ」と力強く訴えました。

 また、第一部と第二部の間には、シンガーソングライターの 浜田裕介さんによる「人権ミニコンサート」が行われました。命の尊厳と正面から向き合う浜田さんの歌に、今後の死刑廃止運動へのエネルギーをもらいました。

東アジア死刑廃止大会 第2分科会に50人余りが参加

 
日付:  土曜日, 2009-12-12
 

東アジア死刑廃止大会分科会2
兼「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク第14回死刑廃止セミナー
「死刑廃止と宗教者の役割-和解と癒しを求めて」
2009年12月12日(土)午後2-5時、明治大学リバティータワー1143教室

第2分科会全景 参加者はスタッフも含めて52人。前日のカトリック正義と平和協議会死刑廃止を求める部会主催の講演会には35名が参加し、二日間で90名ほどの参加でした。講師は、李永雨神父(韓国カトリック矯正司牧委員会代表)と朴秉植教授(韓国東国大学法学部)。李神父からは、受刑者・出所者の更生(出所者のシェルター、起業支援の銀行など)、犯罪被害者の支援(自助グループなど)、超宗派の死刑廃止運動(国会請願、本や映画の製作など)と、韓国カトリック教会の多彩でユニークな取り組みを存分にうかがいました。

 また朴教授は、韓国の死刑の現状と今後の展望を述べ、日韓が連帯して共に死刑廃止に向かおうと、力強く訴えました。日本から見ればあまりに先進的な韓国カトリックの取り組みに溜め息が出る一方で、勇気と励ましも与えられました。今後もしっかりと連帯してゆきたいと思います。