日本-EU間の刑事共助協定で死刑を理由にEUに拒否権を認める

 
日付:  火曜日, 2010-01-05
 

 昨年日本政府と欧州連合(EU)が署名した刑事共助協定(11月30日にEU側が署名、12月15日に岡田外相が署名)に、「死刑の可能性がある犯罪」に関しては共助要請を拒否できるとの規定が盛り込まれていることが、報道各社の関係者への取材で分かった。

 協定では、請求を受けた側が「自国の重要な利益が害される恐れがある場合」は共助を拒否できると規定し、この事例として「請求国の法令の下で死刑を科しうる犯罪」が盛り込まれた。

 これにより事実上EU側だけが拒否権をもち、日本で殺人などの罪を犯した容疑者がEU域内に逃げ込めば、証拠収集を拒否できる形になる。

 昨年10~11月、交渉に関与した警察庁から報告を受けた国家公安委員会では「不平等な内容だ」との反対意見が出たが、中井洽国家公安委員長は5日の会見で「不安はあるかと思うが、できるだけのことはした」と述べた。

 死刑廃止国が7割を超えるなかで、このような事態は今後も当然予想されることで、日ごろ中国を批判しながらこのようなときだけ中国の後ろ向きの抵抗に期待を寄せる、保守派や一部の国家公安委員の意見は滑稽ですらある。

共同通信の記事
日経新聞の記事