日本の死刑制度

死刑求刑事件で広島高裁が一審無罪判決を支持

 2001年に広島市で保険金目的で母親を絞殺し、家に放火して娘2人も焼死させたとして、殺人や詐欺などの罪に問われていた中村国治被告 (39)に対して、広島高裁(楢崎康英裁判長)は一審広島地裁の判決を支持し、検察側控訴を棄却し た。

 最高裁によると1978年以降、再審事件を除き、死刑求刑に対し一、二審とも無罪が言い渡されたのは今回で3件目だという(過去の2件は検察側が上告を断念し、無罪が確定している)。

鳩山新政権の法相に死刑廃止議連の千葉景子氏が就任

 民主党・社民党・国民党の連立による鳩山新内閣の法務大臣に、死刑廃止議連の千葉景子参議院議員が就任した。

森英介法相が3人の死刑を執行、半年ぶり3度目

 麻生内閣の森英介法相が、山地悠紀夫さん(大阪拘置所)、前上博さん(大阪拘置所)、陳徳通さん(東京拘置所)の3人に対して死刑を執行しました。森英介法相による死刑執行は昨年10月28日、今年1月29日に続いて半年ぶり、3回目です。

東京拘置所視察委が死刑執行の告知を早めるよう意見書

 3月31日、東京拘置所視察委員会は、死刑執行の告知について「「少なくとも一両日前には本人に告知し、最後の身辺整理などに時間の猶予を与えるべきだ」との意見書を東京拘置所長に提出しました。視察委員会は死刑確定者45人を含む被収容者全員(約2100人)にアンケートを実施し、それを参考に意見書をまとめたとのことです。

イギリスBBCが抗議アクションの写真入りで日本の死刑執行を報道

イギリスのBBCのWebサイトが、1月29日の日本の死刑執行を伝える共同通信の記事を、私たちの国会前抗議アクションの写真入りで掲載しました(ただし、写真は前回の執行に対する11月6日の抗議アクションの時のものです)。
 
 

森英介法相が2度目、4人の死刑を執行

 1月29日(木)、麻生内閣の森英介法相が、牧野正さん(58歳、福岡拘置所)、川村幸也さん(44歳、名古屋拘置所)、佐藤(旧姓野村)哲也さん(39歳、名古屋拘置所)、西本正二郎さん(32歳、東京拘置所)の4人の死刑を執行しました。森英介法相による死刑執行は、昨年10月28日の2人の執行に続いて2度目で、その間わずか3か月、合計6人になります。

犯罪による死亡者数と殺人認知件数

犯罪による死亡者数と殺人認知件数

 
1966年 3661 2198
1967年 3273 2111
1968年 3611 2195
1969年 3576 2098
1970年 3378 1986
1971年 3235 1941
1972年 3200 2060
1973年 3459 2048
1974年 3217 1912
1975年 3056 2098
1976年 3031 2111
1977年 2878 2031
1978年 2669 1862
1979年 2411 1853
1980年 2257 1684
1981年 2176 1754
1982年 2121 1764
1983年 1921 1745
1984年 2080 1762
1985年 2342 1780
1986年 1769 1676
1987年 1605 1584
1988年 1631 1441
1989年 1446 1308
1990年 1453 1238
1991年 1386 1215
1992年 1324 1227
1993年 1322 1233
1994年 1359 1279
1995年 1292 1281
1996年 1249 1218
1997年 1296 1282
1998年 1350 1388
1999年 1334 1265
2000年 1345 1391
2001年 1441 1340
2002年 1368 1396
2003年 1432 1452
2004年 1397 1419
2005年 1354 1392
2006年 1284 1309
2007年 1134 1199
2008年 1211 1297
2009年 1054 1097
2010年 996 1067
出典:いずれも『犯罪白書』(「犯罪による死亡者数」の第一次資料は警察庁の資料)

 犯罪による死亡者数には殺人罪以外によるものも含まれ、殺人罪の認知件数は未遂も含まれるので、2つの数字同士の比較は意味がありません。
 しかし、犯罪による死亡者数も殺人事件の認知件数も減少傾向にあり、殺人事件の認知件数は2006年、2007年と2年連続で戦後最低を更新しました(ただし、2008年はやや増えています)。

年間の死刑判決と新規確定人員

年間の死刑判決と確定人員

 
1989年 2 4 5 5
1990年 2 3 7 6
1991年 3 4 4 5
1992年 1 4 4 5
1993年 4 1 5 7
1994年 8 4 2 3
1995年 11 4 3 3
1996年 1 3 4 3
1997年 3 2 4 4
1998年 7 7 5 7
1999年 8 4 4 4
2000年 14 6 3 6
2001年 10 16 4 5
2002年 18 4 2 3
2003年 13 17 0 2
2004年 14 15 13 14
2005年 13 15 10 11
2006年 13 16 16 21
2007年 14 14 18 23
2008年 5 14 8 10
出典:判決数は『司法統計年報』より作成、新規確定人員は『検察統計年報』

年間の死刑執行数

年間の死刑執行数(戦後)

 
N sl
1945 8年
1946 11年
1947 12年
1948 33年
1949 33年
1950 31年
1951 24年
1952 18年
1953 24年
1954 30年
1955 32年
1956 11年
1957 39年
1958 7年
1959 30年
1960 39年
1961 6年
1962 26年
1963 12年
1964 0年
1965 4年
1966 4年
1967 23年
1968 0年
1969 18年
1970 26年
1971 17年
1972 7年
1973 3年
1974 4年
1975 17年
1976 12年
1977 4年
1978 3年
1979 1年
1980 1年
1981 1年
1982 1年
1983 1年
1984 1年
1985 3年
1986 2年
1987 2年
1988 2年
1989 1年
1990 0年
1991 0年
1992 0年
1993 7年
1994 2年
1995 6年
1996 6年
1997 4年
1998 6年
1999 5年
2000 3年
2001 2年
2002 2年
2003 1年
2004 2年
2005 1年
2006 4年
2007 9年
2008 15年
2009 7年
2010 2年
2011 0年
2012 3年
出典:『検察統計年報』(1961年~)、『行刑統計年報』(1945~1960年)。それ以前については、団藤重光著『死刑廃止論』(有斐閣)の付録に整理された正確なデータがある。

長勢甚遠(安倍内閣)、鳩山邦夫(安倍、福田内閣)両法相以来、大量執行の傾向が顕著になり、2008年の執行人数は30年ぶりに2桁の水準を大幅に超えてしまった。

森英介法相が2人の死刑を執行

 森英介法相は、10月28日、福岡拘置所の久間三千年(くま・みちとし)さん、仙台拘置支所の高塩正裕(たかしお・まさひろ)さんの2人に対して死刑を執行しました。保岡興治・前法相による9月11日の執行から1ヵ月半で、今年に入って5度目計15人の死刑執行になります。