東京拘置所視察委が死刑執行の告知を早めるよう意見書

 
日付:  火曜日, 2009-03-31
 

 3月31日、東京拘置所視察委員会は、死刑執行の告知について「「少なくとも一両日前には本人に告知し、最後の身辺整理などに時間の猶予を与えるべきだ」との意見書を東京拘置所長に提出しました。視察委員会は死刑確定者45人を含む被収容者全員(約2100人)にアンケートを実施し、それを参考に意見書をまとめたとのことです。
 死刑確定者は高松を除く高等裁判所所在地にある7つの拘置所、拘置支所に拘置されていますが、現状では、死刑執行の本人への告知は執行の当日朝に行われています。告知が執行直前に行われていることについて、意見書は「死刑確定者の心情を日々脅かしている。再審・恩赦請求を侵害する恐れもある」と指摘しています。
 「刑事施設視察委員会」は2006年5月24日施行の受刑者処遇法(1年後に改正され刑事被収容者処遇法となった)によって創設された第三者機関で、全国76か所の刑務所・拘置所に置かれており、法務大臣が任命した一般の委員(多くは弁護士・医師・自治体職員・地域住民など)で構成されています。視察委員会は当該刑事施設の運営について刑事施設の長に意見を述べる権限と職責を負っています。
 刑事訴訟法では死刑の執行は法務大臣の命令によるとし(475条)、法務大臣の命令から5日以内に執行しなければならないとされいます(476条)。東京拘置所視察委員会としては、法律の改正によらなくても東京拘置所長の権限で実行可能な措置として、執行命令が拘置所長に伝達されたら早期に本人に告知するよう求めたものと考えられます。
 これに対して、東京拘置所は「できることについては対応していく」としているとのことです。