アムネスティ・インターナショナルが事務局を務め、監獄人権センターも参加している「死刑に反対するアジアネットワーク(ADPAN)」が、2011年12月6日、アジア太平洋地域における不公正な裁判の実態に関する報告書を、記者説明会で発表しました。同報告書では、死刑執行に直面している、アジア各国の8人の事例を取り上げており、日本の事例としては、長きにわたって無罪を訴え続けている死刑囚・袴田巌氏の事件(注)を取り上げています。
記者説明会では、アムネスティ日本の若林事務局長が、不公正な裁判の報告書について説明をしました。その後、袴田巌氏の実姉、袴田秀子さんから発言を頂きました。秀子さんは、記者から長年に渡る支援について、質問があがると「くじけたことはありません。大変な時には、なにくそ、と思って進んできましたから」とコメントされ、再審開始への流れについて、落ち着いた口調で「期待しています」と語られました。この説明会には、袴田さんの支援団体の方にも同席頂き、支援内容と再審への思いについて発言を頂きました。
アムネスティ日本では、袴田事件の再審の早期開始を求める署名アクションを展開しています。アクションに、是非ご協力ください。
http://ow.ly/8xsl4
(注)袴田事件とは
1966年6月30日、味噌製造会社専務の自宅が放火され、焼跡から専務(41歳)、妻(38歳)、次女(17歳)、長男(14歳)の計4人の他殺死体が発見された。
静岡県警は、当時味噌製造会社の従業員で元プロボクサーの袴田巌氏(現在75歳)を強盗殺人、放火、窃盗容疑で逮捕した。
1980年12月12日、最高裁で死刑が確定。袴田氏の拘禁は、45年以上におよんでいる。現在係属中の、第二次再審請求審では、2011年12月22日に、袴田巌氏が犯行時に着ていたとされる衣類のDNA鑑定を行った弁護側鑑定人が「被害者由来の血液は確認できなかった」とする鑑定書を静岡地裁に提出した。ただ、検察側鑑定人は「被害者に由来したDNAの可能性を排除できない」としている。今後は鑑定人尋問などが予想され、審理はさらに長引く可能性もある。