世界の死刑廃止最前線~ウガンダとモンゴルの動き

 今号では、世界各地の死刑に関する最新情報をお伝えいたします。

○ウガンダ共和国
 5月上旬、アフリカのウガンダ共和国で、同性愛者の人びとの人権を踏み
にじる反同性愛法案が国会に提案されました。この法案には、同性愛者であ
ることを知りながら、24時間以内にその人物を通報しなかった者を処罰する
など、市民の基本的人権を侵害する様々な条項が盛り込まれていました。
して、「悪質な同性愛」の罪を犯した者に死刑を科すという条項が入ってい
ました。

 ウガンダ国内の活動家やムネスティなど国際的な人権団体は、この法案の
否決を議会に働きかける運動を展開しました。特に、法案採決の危険が高ま
った5月13日には、世界中の人々の抗議の声が、ウガンダ政府および議会に
殺到しました。その結果、ウガンダ議会はこの法案の審議を見送り、5月中
旬に閉会となりました。

 こうして同性愛者に死刑を科す法案の制定は見送られました。しかし、同
国では、この法案が繰り返し提出されており、今後予定されている新しい議
会でも、提出される危険は残されています。

○モンゴル国
 モンゴルでは、昨年1月、ツァヒャー・エルベグドルジ大統領が、死刑廃止
を目指す観点から、死刑執行の一時停止を発表しました。その後、モンゴル
政府は、死刑廃止に向けた法改正などの検討を開始しています。

 そして、今年4月に春の会期が始まったモンゴル議会には、死刑廃止を定め
た国際条約である「自由権規約第二選択議定書」(通称、死刑廃止条約)を批
准する法案が提出されています。5月3日、モンゴル議会の国家安全保障委員会
は、この法案を可決しました。ただ、議会の本会議での採決は、野党の反対に
よりまだ行われていません。モンゴルはいま、正式な死刑廃止まであと一歩の
ところまで来ています。