スピーディ・ライス教授来日、法務大臣と面会
世界死刑廃止連盟(WCADP)運営委員会のメンバーで米国ワシントン&リー大
学教授のスピーディ・ライス教授が来日した。ライス教授はちょうど2年前
の09年2月にも来日し、キャンペーン主催の院内セミナーで講演している。
今回は、法務省、外務省を訪問して江田法務大臣らと面談を行い、パリ弁護
士会(フランス)や人権のための殺人被害者遺族の会(アメリカ)、国際人
権連盟(FIDH)などWCADP加盟の10団体から日本の法相・外相宛てに寄せら
れた、死刑廃止を求める書簡を手渡した。残念ながら国会情勢により江田法
相との面談は極めて短時間とならざるを得なかったが、死刑廃止へとつなが
るモラトリアムの実施に向け、江田大臣ならではのイニシアティブをとるよ
う要請。終始英語で応答した大臣が、死刑や死刑確定者に関する自身の発言
に、感情的な批判が寄せられることを強調されていた点が気になった。そん
な批判や官僚や前例にとらわれず、きちんと指導力を発揮してほしいと強く
思う。
その後は、民主党法務部門の死刑制度に関するワーキングチームの会合に赴き、
米国における近年の死刑廃止に向けた活発な動きを中心にレクチャー。参加議
員にとっては新鮮な内容ばかりであったようで、熱心な質問が飛び出した。
なお、その後の死刑廃止議員連盟総会において議連事務局案の法案(終身刑
の追加的導入、死刑評決の全員一致、死刑制度調査会の設置、4年間の死刑
執行停止)が採択されたが、今年3月9日死刑廃止に至ったイリノイ州は、
実に11年間のモラトリアムの末ーそしてその間、ニュージャージーやニュ
ーメキシコに廃止という結論では先を越されながらも、さまざまな死刑廃止
に向けた改革の努力がなされてきたーようやく議会で廃止法が成立したので
ある。議員はもちろん私たち市民も、こうした事実をきちんと踏まえて、国
内での実践に生かしていかなければならない。そうした意味でも貴重なライ
ス教授の来日であった。