自由権規約委員会が第5回日本審査、アムネスティとCPRも現地でロビーイング

 
日付:  水曜日, 2008-10-15
 

 10月15日、16日の両日、ジュネーブの国連欧州本部会議室で自由権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)の第5回日本政府報告書審査が行われました。アムネスティ・インターナショナル、監獄人権センター、日本弁護士連合会などがオルタナティブ・レポートで日本の死刑制度に関して、自由権規約委員会に情報を提供し、ロビー活動を行いました。

 日本政府は、前回1998年の審査の際と同じ回答を繰り返すだけで、10年も経っているのに一向に進捗が見られないことに、委員からは怒りとも憤りともとれる発言が相次ぎ、最後に委員長が、委員から不満が表明されたということを指摘するという異例の場面もありました。

 委員からの質問が相次ぎ2時間ほど延長されましたが、その中で特に注目されたのが日本の死刑制度でした。日本政府は死刑存置の理由として、世論の支持をあげましたが、これに対し、委員会は「人権を守るという世論を作り上げることこそが政府の役割であるのに、世論を逆に使うことは不当だ」と強く批判しました。最近最高裁まで争わずに死刑が確定してしまう事案が増えていることについても、高い有罪率や問題の多い取調べ手続きなどが、(かえって被告人を萎縮させ)不公正な裁判を生んでいる危険が高い、とも指摘されました。日本政府の反論は、かえって日本では検察官や捜査官があたかも自ら裁判官のようにふるまうという不公正な手続がまかり通っている現状を浮き彫りにしてしまい、委員から、まったく規約の趣旨を理解していない、と厳しく批判されました。また、長期の拘禁の後に、高齢で死刑を執行するという非人道的な面も批判されましたが、そうした質問に日本政府はほとんどまともには回答できていませんでした。

 日本政府は依然として、世論の支持を理由として死刑廃止条約(第二選択議定書)の批准の可能性を示していません。しかし、そうした態度は自由権規約の締約国としてはもはや許されません。日本政府は、自らの主張がほぼすべて論破されたことを真摯に受け止め、これまでの態度を大きく転換させて、具体的に死刑を廃止するための方策を考え始めなければなりません。

 「ここでの審査をやり過ごせば、後は国に戻ってそのままやろうという気なら、お互いのために時間の無駄だからやめたほうがいい」。委員から日本政府が浴びせられた痛烈な言葉です。この発言どおりにさせないようにするめにも、私たち日本社会で活動する人びとは声を上げる必要があります。

 委員会からの最終見解の発表(10月28日公表予定)をもって、いよいよバトンは日本の市民社会に渡されます。私たちがどれだけ運動を広げることができるかは、私たち自身の双肩にかかっています。